HHKB Studioは非常に面白い商品でマウス機能を備えたポインティングスティックとマウスボタン、そして側面と前面にタッチパッドを装備、スイッチが交換できるホットスワップ対応からショートカットのボタンの組み合わせを1つのボタンで実行できたりと、かゆいところに手が届くプロダクトであった。HHKB Professional HYBRID Type-Sを使っていた身としても大いに魅力を感じ、発売日に即購入して約1年使用した。
しかし現在手元にHHKB StudioはなくHHKB Professional HYBRID Type-Sをメインキーボードに戻している。長期使用したからこそわかる、個人的に致命的だと感じた欠点5つに付いて解説したいと思う。
ポインティングスティックの強度が低い

マウス機能も搭載したキーボードは一見夢のようなシステムなのだが、マウスに比べるとやはりスピードや正確性は劣り、結局本格的な操作はマウスに任せることもあった。それだけなら良かったのだが、このスティックがかなり壊れやすい上に自分で直せるような構造ではない。
僕の場合購入から半年ほどでいきなりスティックがスカスカと空回りするようになった。その時は1年保証で新品交換してもらったのだが、HHKB Studioは日本製造のHHKB Professionalシリーズと異なり海外製造なため修理対応はなく、商品交換で不具合を直す仕組みとなっている。
これが何を意味するかというと、購入から1年が経って製品保証が切れたとき、HHKB Professionalシリーズだと例えばボタンが反応しなくなったらボタンだけを相応の値段で修理してもらうことができる。しかしHHKB Studioの場合本体丸ごと交換なので、本体丸ごとのお値段が修理費ならぬ交換費用としてかかってくる。
つまりはスイッチは交換できるので壊れても自分で付け替えて修理可能だが、自分で直せないポインティングスティックやタッチパッドが壊れたときは、1年保証が終われば実質買い替えるのと変わらないことになる。
僕の場合普通に使っていて半年で壊れたので、このまま使っていてもいつ壊れるかヒヤヒヤしながら使うのはなかなかのストレスであり、これがHHKB Studioを手放すきっかけの一つとなった。
マウススイッチが微妙

HHKB Studioにはスペースキーの手前にマウス用の3つのスイッチが搭載されており、カスタマイズしてFnキーやBSとして使うこともできる非常に便利な存在だった。
しかしここにはGateronというメーカーのロープロファイルな低背のスイッチが使われていて、これの押し心地がとにかく悪い。他キーのKailhというメーカーと共同で作ったスイッチの押し心地が良かったので落差がすごく、ロープロファイルでは選択肢が多いKailhスイッチと基盤に互換性がないので選択肢も少ない。なので流行りのLofreeのスイッチなどはもちろん使えない。
Gateronの他のスイッチを試してみたがあまり種類もなく、3個しかいらないのにスイッチによっては100個単位で購入しなければならず、スイッチ故障時の交換コスパも悪い。
これならいっそのことメインスイッチと同じでも良かったとは思うが、おそらく見た目がHHKBらしくなくなるから諦めたのかもしれない。あとスペースキーの部分が英語配列だけ基盤がむき出しなのでホコリが侵入し放題なのも地味に微妙だ。そして余白も増えてなんとなく不格好なので両端にマウススイッチと同じ見た目で矢印キーがあっても良さそうに感じた。
滑り止めが役に立たない

HHKB Professional HYBRID Type-Sの滑り止めは素晴らしく個人的に最強だと思っているGLIPLUSという滑り止めシールに劣らないグリップ力をもっていた。しかしHHKB Studioは安っぽいゴムに変更され、滑りまくる上に机の塗装を剥がす厄介な存在だった。
別売りの専用キューシンマットを装着したらだいぶマシにはなったが、それでもProfessionalシリーズの滑り止めには程遠い。
Professionalシリーズはスタンドには滑り止めがなかったのだがHHKB Studioにはそれらしいものが付いてはいる。しかしなぜか少し奥まっていてちゃんと設置せず機能しないのは残念だった。
側面の銀色の塗装がハゲる

個人的には墨色一色で統一されていた方が良かったのに何でツートンカラーにしたんだと思っていたら案の定不具合が起きて、側面の銀色の塗装が簡単にハゲる。ちょっと何かにあたったり擦ったりしたらその都度傷や汚れが簡単についてしまう。
格好良くするためにツートンにしたのだろうが普通に本体と同じ成形色で良かったと思う。
タッチパッドが使い物にならない

ギミックとしては面白く、スクロールホイールのように物理的に摩耗することもないので発想としては素晴らしかったが、恐ろしく精度が低い。スクロールや矢印キーに設定すればほぼ確実に行き過ぎるし、反応しないことも頻発。これはもうなくして安くして欲しいレベル。
さらに一般的な厚みのパームレストだと前部分のタッチパッドが使えなくなるので専用の薄いパームレストが必要になる。ノートパソコンのトラックパッドを想定していたら肩透かしを食らうことになるだろう。
改めて【HHKB Professional HYBRID Type-S】の良さを認識

HHKB Studioのキースイッチは確かにメカニカルスイッチとしては押し心地が良かったが、個人的にはHHKB Professional HYBRID Type-Sのキースイッチの押し心地には及ばなかった。
あらゆるメカニカルスイッチをロープロファイルも含めて試してきたが、長時間使って1番指が疲れなかったのはHHKB Professional HYBRID Type-Sの静電容量無接点方式スイッチであった。静音ではないHHKB Professional HYBRIDも使ったが、こちらの押し心地は個人的には重くて微妙だった。
しかしもう発売から6年近く経過しているので、Bluetoothのバージョンは古いしキーマップ変更ソフトもHHKB Studioのものに比べてショボいので、そろそろマイナーアップデートでも良いので動きが欲しい。来年はHHKB30周年なので今年中に後継機種が来るのではと密かに期待している。